Machioka College「ACPから始める老年医学入門Ⅰ」が開かれました
私たちの職場には、Machioka Collegeという月に一度の学びの場があります。
終業後の1時間半、月ごとに違うテーマで幅広い知識を得る、自由参加の勉強会です。
今回の第4回目のテーマは「ACPから始める老年医学入門Ⅰ」。
講師は、まちだ丘の上病院院長の小森医師です。
研修の冒頭に小森院長は、我々が提供する慢性期医療の役割を考える上で、「高齢者の体の変化や生活様式について知ることが大事」と話します。
年齢を重ねると人の身体はどの様に変化していくのでしょうか。
身体・認知・社会的機能の3つの機能の変化をグラフで見ていきました。
(小森院長発表スライドより抜粋)
どの機能も、ある一定の年齢に達すると確実に低下していることがわかります。
患者さんがよく「あなたが私の歳になったらわかるわよ」とおっしゃいますが、体の変化や思考の変化をどこまで我々はどこまでイメージできているでしょうか。また、その方は「どの様な生き方」を望んでいるのかをどこまで把握できているでしょうか。
ここから、今回のテーマであるACPについての学びになります。
ACP(Advance Care Planning/アドバンス ケア プランニング)とは、今後の治療・療養について、患者・家族と医療従事者があらかじめ話し合うプロセスのことを言います。「人生会議」と言葉で表現をされることもあります。聞いたことはありますでしょうか。
年齢と病期にかかわらず、人生の目標、将来の医療に関する自身の望みを家族や医療関係者に共有しておくことで、自分らしい生き方と最期の迎え方を選択することができます。我々、医療従事者としては、患者さんの価値や目標、選好を把握し、医療に反映させることことが求められます。
しかしながら、「自分の人生の目標や価値を共有しましょう」と突然に言われても、なかなか難しいものです。
そこで登場したのが、「もしバナゲーム」です。
カードゲームで遊びながら、自分自身の価値観を他者に共有することができるツールです。
もしバナゲームは、亀田総合病院(千葉県)で緩和ケアや地域・在宅医療に取り組む医師らが、アメリカの「GO Wish Game™」というカードゲームをもとに開発されました。
カードには、重病のときや最期に自分が大事にしたい価値観のキーワードがいくつかも書かれています。
例えば、どのようにケアしてほしいか、誰にそばにいてほしいか、自分にとって何が大切かなどの内容です。
自分が大事と思う、価値観のカードを手札に残し、優先度の低いカードは交換していきます。この作業を何度か繰り返すことで、最後には自分の価値が反映されたカードが手元に残ることになります。
実際に職員が体験をしてみると、自分でも意外な価値観に気づいたり、「そうだよね」と納得したり、それぞれに大事にしたい思いを改めて確認ができたようでした。
今回最も興味深かったことは、人によって最期の希望が全く違ったことでした。
患者さんの身体状況や性格・考え方はそれぞれ違い、私たちはそれぞれの違いにきちんと寄り添っていくことが大切であると再確認できました。
普段話しづらいテーマを、笑いも起こるようなゲーム形式で考えることができるので、みなさんも一度試されてみてはいかがでしょうか。
今後も勉強会を継続していく予定です。